承継コラム vol.10

「日々是初演、今に徹す」


われわれ人間は、「竜頭蛇尾」の言葉のように、初めは大変威勢良くスタートするのですが、そのうちパッとせず何となく終わってしまうことがよくあります。新年の夢や希望、目標による今年のチャレンジや、または進学や就職して新たな人生に取り組んでいく場合など、とかくこのような現象が見られます。これは一体何が原因なのでしょうか?

 

最大の原因は、現実というものに夢や希望、目標が押しつぶされて、自信をなくしてしまうことです。ではその原因は何でしょうか?①夢、希望、目標が曖昧で信念がない、②現実という苦難の壁や甘い誘惑に負ける、③長期で考えておらず計画性がない、④努力せず忍耐力がない、⑤自分に弱く失敗に挫折する、⑥他の夢、希望、目標に目が移り簡単に転換する、などの原因が考えられます。要は自ら信じる力が足りないのであり、弱いからです。事に慣れるにしたがって心が安易に流されてしまうからです。苦から逃れたいのであり、また慣れによる一種のゆでガエルの現象です。危ないことこの上ありません。

 

ではどうすればよいか?中国古典「大学」に、次の言葉が載っています。
『まことに日に新たに、日日に新たに、又日に新たなれ』
これは、「一日新鮮にて、日日に新しくなって、さらにまた日ごとに新しくなれ」ということですが、要は人生には苦難と失敗はつきものであることを受容し、日日目標と現実に向き合って確認反省し、へこたれずに日日生まれ変わった気持ちで明日また努力していくということが大切だとの教えです。日本でも、世阿弥の「風姿花伝」に『当流に万能一徳の一句あり、初心不可忘』とあるように、これは『およそ能楽を修めようとする者は、初入門のときの志、自分はどんなことがあっても能の奥義を極めるのだという初心を忘れずに、いかなる難儀にも負けない覚悟をもたなければならない』という意味のことです。

 

『日日是初演、今に徹す』の創新グループの理行(行動指針)は、この世阿弥の言葉の意味であり、「大学」のその意味でもあります。われわれが、人生をより善く生きていくためには、またより善い経営を執行していくためには、未来を見据え、目標に向かって、初心を忘れず今に徹して、日日生まれ変わった気持ちで生きていくことが大切です。道元禅師の『生を明らめ、死を明むるは仏家一大事の因縁なり』という言葉に象徴されるように、今日一日『生死一如』の腹をくくった生き方をすれば、必ずや明るい善き未来が開けてくるものと信じます。


以上
創新事業承継プロジェクトチーム 代表 公認会計士・税理士 高良 明

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