承継コラム vol.13

「熱誠関与」


人間及び生物が生きている根本の源泉は、天地自然ことに太陽の存在にあり、そのお蔭であります。太陽は休むことなく、大地に燦々と光というエネルギーを与えてくれています。しかもいつでも誰隔てなく公正公平に。それでは一体太陽のように普遍かつ偉大な力はどこから来るのでしょうか。これを人間のあり方から考えてみたいと思います。

よくご存じの「北風と太陽」のお話―「北風と太陽のどちらが強いか、旅人の着物を脱がせた方が勝ち」は、概略このようでした。
―北風が思い切り吹いても旅人は着物をしっかり押さえ、何度か強く吹いても更に旅人は着物を1枚重ねるぐらいで着物を脱がすことはできませんでしたが、一方太陽はポカポカ暖かく照らし始めると、旅人はたまらず着物を脱ぎ、近くの川へ水遊びに行ってしまいました。こうして太陽に軍配が上がりました。―
何事も北風のように力任せに無理やりにやろうとしてはうまくいかないものですが、太陽のように相手の気持ちになり真心をもって対応すれば、自然と人は動いてくれます。

こうしてみると、太陽のごとく人間のあり方には、二つの意味・価値が考えられます。一つには、「情熱」という、まるで父親のような存在の力強いエネルギーです。これは自分がやるべき役割すなわち「使命」から生まれるものです。もう一つは、「誠」という、母親のような存在の公正公平で温かい真心です。赤ちゃんを見る母親の優しさは、真心「誠」そのものです。ちなみに「誠」は、人生の真理の事「真事(まこと)」であり、真実の言葉「真言(まこと)」の意味でもあります。『中庸』という中国古典に、「誠は天の道なり、これを誠にするは人の道なり」という言葉が載っており、「誠」は人生のあり方の根本と言えるでしょう。

この情熱の「熱」と真心の「誠」が合わさった言葉が、「熱誠」であります。深い真心、情熱のこもった真心、すなわち「熱誠」は岩どころか神をも動かす力があるものです。私事で恐縮ですが、戦後間もない我が家の生活がどん底であった頃、生まれて僅か6ヶ月という赤子の私が家の近くの多摩川に流され、これが原因で瀕死の重病に罹りました。しかし幸いなことに、ようやく米軍から手に入った当時大変高価なストレプトマイシンの投与により、私の小さな生命が蘇りました。しかし薬以上に生命の息吹を与えてくれたのが、母の愛情であり日々の祈りと看護(熱誠関与)でした。奇跡とも言うべき出来事でしたが、いつもこれを思うと、母のように深い愛情による「熱誠関与」(真の愛情と同一視してはいけませんが)があればいかなる難事も乗り越えることができると信じてやみません。 


以上
創新事業承継プロジェクトチーム 代表 公認会計士・税理士 高良 明

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