承継コラム vol.17

「新たに気づいて創造」


明治維新から現代まで僅か150年の間で、これほどまでに日本社会に激しい変化と著しい進歩をもたらしたことは、今までの歴史の中でありませんでした。思想、政治・経済、科学をはじめ様々な分野に革新(イノベーション)と創造(クリエーション)が起こりました。論語に「(ふる) きを(たず)ねて新しきを知る(温故知新)」という言葉がありますが、明治維新はむしろ「広きを温ねて新しきを知る((おん)(こう)知新)」ことがその原点であったように思います。渋沢栄一はまさにその先駆者でありました。

渋沢栄一は、1867年、15代将軍徳川慶喜の弟の昭武(あきたけ)に随行してパリ万国博覧会に出席、各国の近代的産業設備や経済制度を広く見分し、その発展ぶりに驚き、帰国後合本(がっぽん)組織(株式会社)を5百余創るなど、日本資本主義社会の創成発展に寄与しました。
「温故知新」は、過去をたどり、それを十分に消化吸収して、未来に向かって新しい思考や方法を創りだしていくことでありますが、「(おん)(こう知新」は自分の殻の中に止まらず、広く世界を見て吸収し、未来に向かって創造していくもので、私の造語です。「温故知新」は時間的な探究、「温広知新」は空間的な探究であり、国際社会の現代では、とくにこの「温広知新」は「温故知新」と共に大事なことだと思います。

しかし「知る」だけでは進歩はありません。進歩は、目的や目標があってはじめて知識を生かすことができます。俳人松尾芭蕉(1644~94)が、「許六(きょろく)離別の(ことば)」の中で、「古人の跡をもとめず、古人の求めたる所をもとめよ」と記したように、古人の残したものだけを知ろうとせず、古人がもとめようとした目的や目標を探求することが大事です。人生においても企業経営においても、単なる知識の習得ではなく、人生の幸福、企業の黒字存続を願って、「温故知新」及び「温広知新」を基に革新・創造していくことが大事です。

「知識」は頭のレベル、「気づく」ことは心のレベルです。気づいてはじめて「革新」となります。知識が気づきを通して革新に、革新が想像を通して創造につながったとき、新しい文化、新しい社会が生まれ、人類の発展に寄与できます。豊田佐吉の自動織機から発展した自動車のトヨタ、松下幸之助のソケットの改良から始まった総合電機の松下電器産業(現:パナソニック)、トラック運送から始まり宅急便を開発した小倉昌男のヤマト運輸など数え上げたらきりがありません。皆社会の発展のために心血を注いだ有志であり、その根本は高い志と革新・創造の連続にあったと思います。


以上
創新事業承継プロジェクトチーム 代表 公認会計士・税理士 高良 明

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