承継コラム vol.19

「最後に残すもの」


人間いつか死していくものですが、最後に残るものはなんでしょうか。人間死して、金銀や財宝、すべからくあの世まで持ってゆくわけにはいきません。財産が有れば、相続人間で骨肉の争いの原因となることもあります。結局残るものは、争いの種を蒔き散らす結果だけなのでしょうか。いや、そんなことはないはずです。なぜなら人類はこうして繁栄を続けているからです。それなら何か人類を幸せにするものがあるはずです。

「棺(かん)を覆(お)うて、人定まる」と言われますが、これは死んで棺のふたがしめられて、はじめてその人の評価が定まるという意味です。生前中は、その人の地位や財力等により、取り入ったり、おもねたりすることがありますが、死んだ人にはそのようなことはしません。「死人に口なし」で、そのようなことをしても反応はなく、意味がないからです。その時残るのは、その人の真の評価がされるだけです。プラスの評価として残るもの、マイナスの評価として残るものの違いがあるだけです。マイナスの評価をされたものは、早晩人々の記憶から消失されてしまいます。

「一生の終わりに残るものは、われわれが集めたものではなく与えたものである」(ジュラール・シャングリ―)という言葉があります。人々に多くの価値あるものを与えた人は、それだけ人びとの心に残るものです。歴史上の人物はまさにそれを物語っています。生きている最中において、布施・奉仕・与えるということは大変難しいことです。自分を犠牲にしてまで人に与えなければならないかと思うと、なかなかできるものではありません。人は欲によって生き、欲によって人生と戦っているからです。

しかしよくよく考えれば、人は与えられて生きている社会的動物です。誰一人として自分ですべてを賄っている人などおりません。着る物にせよ、食べ物にせよ、住む家にせよ、すべては人々の働きによって生まれ、与えられているのです。だから人々に感謝しつつ、少しでも他の役に立つように使命を持って働き、人々に価値あるものを与えていくことが大切なのです。この大切な命をどのように使うか(使命)、真剣に考えなければなりません。我々がこの地球の大地から離れるとき、いかに次世代に役立つものを与えられたか、幸せの種を蒔くことができたか、それが真価の本質といえます。 


以上
創新事業承継プロジェクトチーム 代表 公認会計士・税理士 高良 明

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