承継コラム vol.20

「価値連鎖経営と人生」

 

企業の産物たる製品やサービスは、様々な手が加えられて価値を増加して完成される。典型的な製造業でいえば、マーケティングや販売活動に基づいて受注生産あるいは見込み生産をすべく、製品の素材となる材料を購入し、これにいくつかの工程に加工を施し、検査して製品となし市場に出荷される。このように様々な価値を有効的・生産的に付加して製品価値を増大せしめ、効率化や差別化を図る経営を「価値連鎖(バリュー・チェーン)経営」という。

電話1本の商売では価値の連鎖がないように思えるが、商売のノウハウやインフラ、人材資源管理や経理など間接的な支援活動も加えられて価値連鎖が生じている。マイケル・ポーターは「競争優位の戦略」の中で、価値連鎖の活動を主活動と支援活動に分類して競争優位性を図る戦略を展開した。組織の各部署の機能や価値を上手に結びつけて、企業全体として価値を増加する手立てを考えることが大切と訴えたのである。

とかく組織人は自己の部署に拘泥し、その部署だけの機能を重視するあまり他部署や他の機能を無視する結果となって、全体で製品価値が不十分だったり、コストがかかり過ぎたりすることがよくある。これは他部署との関係性や全体のバランスを考えない証拠である。全体を見ながらいかに部分価値を損なうことなく、全体価値を引き上げるか、すなわち「部分価値」×「部分価値」=「全体価値の最大化」を図るよう工夫しなければならない。個々の「部分価値」を引き上げると共に、この×(掛け算)をいかに創りだすか、その相乗効果の工夫が組織運営での肝心要のところである。

「網の目が互いにつながり合って網をつくっているように、全てのものはつながり合ってできている。一つの網の目は、他の網の目が成り立つために役立っている。一つの網の目は、他の網の目により成り立っている」(お釈迦様)の言葉のように、全てはつながっていることを理解しなければならない。自分一人で成り立っている者はこの世には誰一人存在しないのであって、両親を元に家族、友人、社会あらゆる関係性で自分が存在することを肝に銘じなければならない。物とて同じで、食料品一つとってみても、様々な価値がつながり合い包含されて我々の命が維持されている。我々一人ひとり他人や他の価値を尊重しつつ、また他人や他の価値を損なわないよう自己の価値を増し、組織や社会の全体価値が増すよう努力していくことが大切である。 


以上
創新事業承継プロジェクトチーム 代表 公認会計士・税理士 高良 明

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