承継コラム vol.27

「中国古典・人間学(大学①)」

 

儒教は一般に「修己治人しゅうこちじん」と言われ、人間学の元祖と言ってよいでしょう。「己れ自身を修める」道徳と「人を治める」民衆統治を兼ねた教説が儒教の本質と言われます。儒教思想は、現実の社会的人間を第一の問題として、道徳と政治(現代では経営)を中心とする人間学の思想であります。そのなかにあって、「大学」は儒教の本質を端的に簡潔に著した書物と言えます。今月より、中国古典「大学」を繙ひもとき、人間学ひいては経営実践学を皆さんと共に探求してまいりましょう。

この「大学」は、第1章『大学の道は、明徳を明らかにするに在あり、民を親しましむるに在り、至善しぜんに止とどまるに在り』から始まります。これは概略「高度の教学としてふみ行うべき道筋は、輝かしい徳を学んで各人の備わる内面の徳を一層輝かせて行くことであり、庶民が親愛の情を持って結合するようにすることであり、最高善の境地に至りそこにふみ止まることである」と解釈できます。現代風に企業経営に当てはめて考えると、次のように3つの項目から学び取ることができます。すなわち、経営者の道は
① 徳を学び身に着けて自己の人間性を高めることにあり
② 親愛の情を持って社員を大切にして、人間関係を良くし結束を図ることにあり
③ 世の為・人の為に善(良い製品、サービス)を施す(奉仕)ことにあり

この文章の後に『止まるを知りてのち定まる有り、定まりてのち能よく静かに、静かにしてのち能く安く、安くしてのち能く慮おもんぱかり、慮りてのち能く得(う)。物に本末あり、事に終始あり、先後する所を知れば則ち道に近し。」と続きます。 これは「ふみ止まるべきところすなわち最高善がはっきりわかれば落ち着くことができ、しっかり落ち着いてこそ物事に動揺せず平静であることができ、平静であってこそ安らかになることができ、安らかであってこそ物事を正しく考えることができ、正しく考えてこそ最高善に止まるという目標が得られる。物事に根本と末端があり、また初めと終わりがある。そこをわきまえて、何を先にし何を後にすべきかということがわかる。それでほぼ正しい道を得たことになる」という解釈になります。

我々経営者は日常の煩瑣はんさの中にあって自己を見失うことなく、経営者として最高の善すなわち世の為・人の為になる仕事を遂行していかなければなりません。経営者自身、自社の使命が定まれば心は落ち着き、物事の本末はわかってきます。自社のビジョンを目指して、社員と共に苦楽を共にし日夜努力邁進していきたいものです。 


以上
創新事業承継プロジェクトチーム 代表 公認会計士・税理士 高良 明

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