承継コラム vol.28

「中国古典・人間学(大学②)」

 

明徳を明らかにして天下を治めるためにはどうすればよいか?これを解決する手立てが、「大学」第1章の2に載っています。
「古いにしえの明徳を天下に明らかにしようとする者は先ずその国を治めることだ。その国を治めようとする者は先ずその家を 斉ととのえなければならない。その家を斉えようとする者は先ずその身を修めなければならない。その身を修めようとする者は先ずその心を正すことが必要だ。その心を正そうとする者は先ずその意を誠にしなければならない。その意を誠にしようとする者は先ずその知を 致きわ めなければならない。知を致めるには物に 格いた (至)ることだ。」

すなわち「天下の本は国にあり、国の本は家にあり、家の本は身にある」のであって、さらに「心を正し、誠意へと心を深め、道徳的判断(知能)を明晰にするためには事物についての道理や善悪をわきまえなければならない」ということです。 要するに、平天下へいてんか⇒治国ちこく⇒斉家せいか⇒修身しゅうしん⇒正心せいしん⇒誠意せいい⇒致知ちち⇒格物かくぶつ の流れにおいて極めていかなければならないとの教えです。格物から逆の流れで確実に身を修めていけば、天下を平定することができるというのです。

一時得意の絶頂にあり成功を収めた者が、一転して奈落の底に落ちていくのはなぜか?得意の絶頂期の時は、すべて自分の力で成しえたような慢心さや驕慢さが自身の心を覆い、他人の言を聞き入れなくなるのが最大の原因と考えられます。例えば太閤秀吉の場合、 ―信長の草履取りから始まった農民上がりの戦国武将秀吉は、天下を取って「太閤殿下」と呼ばれたが、その太閤が天下を継承治めえることなく家康にあっさりと天下を奪われた。千利休を殺し、文禄の役・慶長の役で朝鮮に出兵し明国までも攻め込もうとした。慢心や驕慢さが秀吉の心を覆い、人が変わったように無謀な判断を下した。このため人心は離れた。老境に入って、後継問題で頭が一杯で、正常な判断力を欠いたとしか思えない―
秀吉は天下を取って慢心となり、事物についての道理や善悪の道徳的判断を失ったと言えます。すなわち格物・致知の欠落正心・誠意の喪失修身の堕落豊臣家 斉ととの わず国治まらず平天下ならずというコースを辿ったと解釈できます。慢心や驕慢という成功者に付きまとう病魔に襲われたとしか言いようがありません。

我々人生において、慢心や驕慢などによって家や財を失い、社員や友を失うことがよくあります。本もとはすべからく自分自身の心にその源があることを自覚することが大切です。 


以上
創新事業承継プロジェクトチーム 代表 公認会計士・税理士 高良 明

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