承継コラム vol.33

論語と経営(1)

 

『之これを知る者は之を好む者に如しかず。之を好む者は之を楽しむ者に如かず』
(現代訳:道のあることを知っている者は、知らない者よりはすぐれているけれども、道を好む者には及ばない。道を好む者は道を楽しむ者には及ばない。)

複雑かつスピード社会の現代において、人間関係や仕事の重圧等人間には様々な要因で精神的負担がのしかかっています。経営者や働き盛りのビジネスマンが自分自身を見失い、心身症で体調を壊す例が多いのもこのためです。この問題の根本は、「他人との関係や仕事そのものをどのように受け止めるか」にあると思います。他人との関係が煩わしく、いやだいやだと思えば、ますます顔を合わせること自体に気が重くなり、仕事や家庭にまで影響を及ぼすこととなります。仕事をいやいやするのであれば、明日に希望がなく心身ともに疲れてしまうでしょう。しかし面白いもので、嫌いな人に対して進んで挨拶をしていけば、次第に相手も心を開き、また仕事も進んでやるようになれば意外に面白くなって、それほど疲れを感じないものです。

では、進んでやるようにするにはどうすればよいでしょうか? 自分が生きている「今の時と今の場」で面白さや楽しさを発見して、これまでの自分がいかに「もったいない時」を過ごしていたか、自問してみることです。いい人生を送っていくには、他人を変えようとせず、自ら変えていかなければなりません。夢のある未来を創っていく工夫が必要です。どうせやらなければならないのなら、たとえ小さなことでも、面白さや楽しさを見出すように視点を変えることです。上記の孔子の言葉は、もともと学問に対する態度について語ったものですが、仕事や経営についても十分に当てはまる大変意味深いものです。「好きこそものの上手なれ」という諺がありますが、更に「楽しむこそ人生の上手なれ」と追記できましょう。

経営者は常に仕事に追われ、利益や資金確保を求められ、寝る暇もないぐらい辛い立場の人間です。確かに企業という人の組織を維持存続していくことは並大抵の努力では得られません。しかし経営者は、使命に基づきこれを好んで行い、楽しんで行わなければ何のために企業経営をしているのか意味がなく、到底企業の維持存続はできません。失敗が重なり苦しい経営の中にあっても、組織のリーダーとして次のステップアップの糧となる謙虚さと積極さをもって、今に徹した経営を楽しむ勇気と度量が必要です。そこに社員は引き込まれ、明日の希望に満ちた経営者の生きがいが見出せるものと信じます。 


以上
創新事業承継プロジェクトチーム 代表 公認会計士・税理士 高良 明

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