承継コラム vol.35

論語と経営(3)

 

『学びて思わざれば則ち罔くらく、思いて学ばざれば則ち殆あやうし』
(現代訳:ただその事を学ぶだけで、思索しなければ心はくらくて何も悟ることはできない。ただ思索するだけで、その事を学ばなければ空想に過ぎず、危うくて不安をまぬかれない)

人工知能(AI)すなわち「人間のように考えるコンピューター」が近い将来、人間の能力を超えるのではないか、人間の仕事は機械に奪われてしまうのではないか、と言われています。「人間対人工知能」の戦いはあらゆるところで行われています。例えば将棋の世界では、「将棋電王戦」と称して、プロ棋士とコンピューターの戦いが行われ、今までコンピューターがプロ棋士に勝ち越しており、先月20日の戦いでは、コンピューターソフト「PONANZA」が佐藤天彦名人を破り、同名人に2連勝しました。ますます人工知能の強さが発揮される時代になってきました。

そもそも「知能」とは何か?国語辞典によれば、「知識と才能。知恵の働き」とあります。すなわち「知識」と「知恵」の合成と言えます。また「知識」とは「ある事物についての明確な理解、認識。またその内容」とあり、「知恵」とは「物事の理を考え、判断し、処理する心の働き」とあります。今や人工知能は、単なる知識の集約ではなく、「機械学習」(人工知能のプログラム自身が学習する仕組み)しながら、物事の認識や判断を行うことができるようになったのですね。

人間はいろいろなことを学びながら人生を送っています。しかし「論語」では、上記のように戒めています。いくら学んでも、一つ一つの学びからそれを深く思い、自分自身に当てはめて、また時勢に当てはめて考え、気づくことがなければぼんやりと不安定な状態だと言えます。単に知識があるのをひけらかす輩がいますが、真に身についたものではなく、全く意味のないことです。また考えることや思いつめることは良いことですが、きちんと先人のエキスを学ばないと大変危険なことです。とくに知識や体験の少ない若い人が、物事に思い詰めて悩むことは適切な判断を誤る危険が大きいものです。このように、人間は学びかつ思索・探求して本質をつかみ、適切な行動に導くことが大事です。人工知能を創るのも人間であり、活用を図るのも人間です。目先の現象や知識に惑わされることなく、常に学びかつ探求しながら創造していくことが人間の進歩と幸福実現にとって大切なことだと思います。 


以上
創新事業承継プロジェクトチーム 代表 公認会計士・税理士 高良 明

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