承継コラム vol.39

論語と経営(7)

 

『子曰(しいはく)、君子(くんし)は和して同ぜず。小人(しょうじん)は同じて和せず。』 (現代訳:君子は人と接するに和らぎ親しむけれど、常に道理にかなうか否かを考えるから雷同(らいどう)はしない。小人は反対に媚びて雷同はするけれど道理にかなうか否かを考えないから和らぎ親しむことはない)

とかく人間は、組織において強いものや地位の高いものにまかれて付和雷同しがちです。自分の意見をもたず、あるいはもっているとしても、ただわけもなく他人の意見に従うだけのほうが安全と考えてのことでしょうか。あるいはその場で自分の意見を発表するのが、後で何と言われるか怖いからでしょうか。会議で自分の意見を言わず、賛成の意思を示すあるいはほのめかしておきながら、陰で実は反対の態度を表し方針に従わないというようなことがよくあります。これは真に和しておらず、表面上同じているだけの小人の姿です。

これでは本当の組織の和による力は発揮できません。人間が自己表現と真実の心が異なる場合、物事が定まらず、当初の目標に対して注ぐ力は十分とはなりません。心と知、そして行の3つがピタリと合致しなければ力量は十分に発揮できないものです。また組織全体においても、このように和していなければ集団の心が通わず一致団結できず、心・知・行による1+1=2以上の成果は達成できないものです。

それでは和するにはいかにすべきか。一旦他人の意見や方針を受け止めて(受容して)、言われていることの意味や趣旨をよく理解することです。その上で自分の意見を感情交えずに述べることが大切です。組織である以上、自分の意の通りに事が運ばないことはよくあることです。まずは感情を露わにせず冷静に受け止めたうえで、しっかりと自分の意見を述べ、組織の決定の際には快く従うことが「和して同ぜず」の道理ある人間社会、組織のあり方です。もし組織の決定が合法的でなく、あるいは著しく不合理の場合は、何度もそのことを責任あるリーダーに断固訴えるべきでしょう。

歴史上わが国の建設者と言われる聖徳太子は、「十七条憲法」の第一条に、「和をもって貴しとし、忤(さからう)ことなきを宗(むね)とせよ。・・・上和(かみやわら)ぎ、下睦(しもむつび)て、事を、論(あげつらう)に諧(かなう)ときは、事理(おのず)から通ず。」と定めました。「諧う」とは、和合の意の語源(和)からきている漢字で、やわらぐ、かなう、ととのうの意味です。葉を尊重することが道理といえそうです。これが「君子は和して同ぜず」の真の意味だと思います。 

以上
創新事業承継プロジェクトチーム 代表 公認会計士・税理士 高良 明

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