承継いろは vol.16
不動産の投資利回りについて (不動産への投資を行うためにはこれだけは知っておこう)

仕事上、不動産への投資についての相談を受けることがあります。その目的は、節税であったり遊休不動産の活用であったりしますが、当然ながら綿密な検討が必要です。その検討において重要なことはその対象となる不動産の収益性です。よく新聞の折込みチラシなどで、「利回り○○%の利回り物件、投資用にお勧めです」等々よく見かけますが、この“利回り”をよく理解した上で検討することが重要となります。取引現場では、想定利回り、粗利回り、表面利回り、純利回り、実質利回りなどの名称が使われますが、その利回りが具体的にどのように計算されたのかが問題となります。

不動産の利回りについて簡単に整理してみますと、 一般的に粗利回り、表面利回りといわれるものは、賃料収入を不動産価格で割ったものです。つまり、賃料収入/不動産価格 です。 しかし、これでは不動産を使用収益していく上での必要諸経費などがどのように処理されるのかがわかりません。ここで必要諸経費とは不動産を使用収益していく上で必要な経費で、 共用部分の清掃費・水光熱費等維持費、建物等の修繕費、家賃の徴収・テナントの管理等に必要な管理費、土地と建物の固定資産税・都市計画税等の公租公課、建物等の損害保険料等 が必要諸経費です。もちろん、貸室がいつも満室とは限りません、また、テナントの入替わりなどにより空室も発生します。さらに、賃料を払ってくれないテナントもいるかもしれません。このようなリスクも考慮して、空室等損失相当額、貸倒準備費も考慮することが必要となります。  このような必要諸経費などを賃料収入から控除したものが一般的に“純収益”と呼ばれ、これを不動産価格で割ったものが純利回り、実質利回りなどと呼ばれるものです。つまり、(賃料収入-必要諸経費等)/不動産価格 です。  

賢明な読者の方はもうおわかりになったと思いますが、不動産に投資するためには純利回り、実質利回りを把握する必要があります。さらに必要なことはその純利回り、実質利回りがどのように計算されたか知ることが必要です。

経験上、高利回り物件ということで不動産を購入し、払うものを払ったらいくらも手元に残らないという例もみています。節税目的であるならばまだ救われますが、不動産投資をするためには綿密な検討が必要であることがお分かりいただけたと思います。  

ところで、不動産投資も実質的には株式への投資と同じです。ということは、不動産投資を行うには“出口戦略”、つまり、不動産を取得して運用し、また、時機を見てその不動産を売却して利益を上げることもこれからの不動産投資戦略には重要となります。  不動産投資戦略を検討する上で必要なノウハウとして、DCF法という鑑定評価の手法が有効です。これは収益還元法の一つで、Discounted Cash Flow の略です。不動産の保有期間(数年間)に得られる純収益を現在価値に割引計算したものと、保有期間終了時の不動産の売却によって得られると予想される価格を現在価値に割り戻したものを合計することにより、不動産の収益価格を求める手法です。現在日本では不動産投資を検討する上で必須の手法となっています。  

繰り返し申し上げますが、どのような投資でも同じで、不動産投資を成功させるためには綿密な投資戦略が必要です。
以上
創新事業承継プロジェクトチーム 不動産鑑定士 竹本 朗

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