承継いろは vol.19
リーダー不在(不出)の時代」について

事業承継を検討しているが後継者不在の中小企業経営者が、意外に多い。子息に恵まれ ず、企業内で承継を考えているというが、最近の従業員には、リーダーシップを発揮でき るものが少なく、育っていないという。
このことは、実は中小企業においてだけではなく大企業においても、こういった「リーダー不在」という問題があるようだ。

昨今の日本には混沌とした不安感が漂っていると感じている人々は少なくないであろう。
それは人物的にも社会情勢的にも頼れるものが少なく、国民や企業は将来に対して希望を見出せなくなっているためだろう。
「判断力」「闘魂」「責任感」のあるリーダーと呼ぶにふさわしい人物が不足していると私も思う。
東日本大震災や外交問題に揺れている日本で社会は今、強いリーダー像を求めている。
しかし、政権交代をして大きな変革を遂げたはずの日本で、なぜ若手リーダー不在社会といわれてしまっているのだろうか。

有史以来日本人は東洋文化を歩み、高い伝統や作法と農耕民族ならではの協調性を重んじる日本文化を確立してきた。そのため昔の日本社会では「出る杭は打たれる」と言われてきた。
しかしそれは、昔の日本での話ではなく、現代いっそう強くなってきたのではないだろうか。
善意の正しい行動であったとしても、人々の前に率先して立って行動する人に対する風当たりは強まるばかりと、私は感じる。
授業の中で、リーダーシップは「勇気」であるという発言にとても共感したが、裏を返せばリーダーとして名乗りを上げ、未来を切り開いて行くことをはばかり恐れる人や失敗を恐れ行動できない人が増加してきたとも考えられる。

東日本大震災後、仕事を通じて「社会に貢献・役に立ちたい」というリーダーシップを発揮する企業人が増加しているという。
しかしながら、多くの企業の若手社員は“リーダー的な価値観をもつ企業人”の構成比が減少し消極的な人々が増えている。
2011までの直近4年間の企業人の仕事観における意識変化をネットリサーチ会社が実施した意識調査(MindVoice(R))のデータからみると、以下のような統計が出ている。分析対象は全国19~59歳の企業人男女である。
企業人が考える仕事の意義として、この1年で「社会に貢献すること・役に立つこと」が「自分の目標達成や自己実現」を上回った。
震災がきっかけとなり、企業人が自分の仕事の意義を問い直した1年であったのかもしれない。
そうした仕事観の変化は、“リーダー的な価値観をもつ企業人”に、より強く表れている。
“リーダー的な価値観をもつ企業人”とは、主体的に行動する前向きな価値観をもった、企業人全体の1割強を占める人々である。
一方、仕事の価値観を世代別でみると、若手(19~33歳)では“リーダー的な価値観をもつ企業人”の構成比が減少してる。
(2008年の調査では11.2%だったのが2011年の調査では7.4%に減少)
若手の企業人は、仕事での会話や会議で主導権をとったり自分の意見を主張するのではなく、じっと耐え、ほどほどに行動する消極的な人が増えているようである。
「出る杭は打たれると思うのでほどほどに行動するようにしている」「他人のどのような意見にもじっと耐え、組織を守っている」といった意識が増加しているのに対して、「仕事での会話や会議では、自分がリーダーシップをとる場合が多い」「仕事の場では年齢、性、立場に関係なく、自分の意見を主張する方だ」という意識は減少している。

しかし、このことは『最近の若いものは…』といった議論とは異なる背景が考えられる。
仕事の成功体験を仲間と共有する機会が少なくなっていたり、コンプライアンスを誤解した上司が思い切った行動を許さなくなってきている場面もあるであろう。
また、社内のコミュニケーション手段が対面からインターネットに移行してきていることも背景として考えられる。
企業は、若手社員の価値観に配慮するだけではなく、今後の社内啓蒙や社内コミュニケーションのあり方を、真剣に検討すべきタイミングにあるのかもしれない。
以上
創新事業承継プロジェクトチーム ライフプランナー 山崎 亮

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