承継いろは vol.24
「来年度の中小金融事情」

昔流行った寅さん映画のワンシ-ンに、タコ社長が寅さんに対し、
「お前みたいなバカに中小企業の経営者の苦労がわかってたまるかっ!」
とぼやくシーンがあり、下町に生きる中小企業のタコ社長と自由奔放に生きる寅さんとの生き方の違いを微笑ましく感じたことを私は今も鮮明に覚えております。


でもこのタコ社長の言葉、最近の中小企業の経営者にとっては至って切実な言葉なのかもしれません。


というのも今月10日、すったもんだした野田政権の消費税増税法案が民社・自民・公明の賛成多数で参議院を通過し、再来年度の平成26年4月からの段階的施行が決定したことを筆頭に、中小企業の経営者には頭の痛くなる問題が山積しているからです。


消費税問題については、直ちに憂慮されるのは増税施行に伴う消費の急激な落ち込みと、業界によっては増税分の価格転嫁の懸念なのではと思われ、いずれも売上(収入)減少に直結する由々しき問題です。


一方、消費税論議や原発問題でメディアではクロ-ズアップされてませんが、来年度以降において中小企業の経営者を確実に苦しめることとなるのが「金融円滑化法の期限切れ問題」に端を発する「中小企業金融の急激な引き締め問題」です。


この問題にはもっと奥深いものがあり、そもそも「金融円滑化法」自体が2008年秋

のリーマンショック後の急激な景気後退に対する中小企業金融の緊急避難的な時限立法だったのですが、実は同時期において国際金融の世界では、今回のリーマンショックの反省(デリバティブによる過度な金融活動)から、各国の金融当局が来年度(2013年)から厳格な金融規制を行うことが決まっていたのです。この規制は、いわゆる「バーゼルⅢ」といわれるもので、金融機関に対する従来のBIS規制(自己資本規制)をより厳格・強化するというものです。


平成22年3月期の財務状況でこの新基準を下回っているのが、国内銀行全120行(都銀・信託・地銀・第2地銀)の内55行もあり、その内地銀は22行、第2地銀は29行も下回っているのが実情です。


この厳しい状況下で地銀・第2地銀は、自らが抱えている金融円滑化法による不良債権約26兆円を来年度から処理せねばならず、この問題は遅かれ早かれバブル経済崩壊以後

オ-バ-バンキングと言われた続けた「中小金融機関の大淘汰」の引き金になることは間違いありません。


そうなると信金・信組を含めた中小金融機関は自らの生き残りをかけた経営を余儀なくされることは明らかで、「中小企業金融の急激な引き締め」は時間の問題と思われます。

どうやら、先々を見越した早目の銀行対応が賢い経営者の近々の課題と言えそうです。


以上
創新事業承継プロジェクトチ-ム 公認会計士・税理士 橋口 貢一

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