承継いろは vol.32

「つま先立つ者は長続きせず」

 

6月18日、各紙一斉に「安愚楽牧場 元社長ら逮捕」「虚偽説明 顧客勧誘」「耳番号で水増し」などの見出しで、経営破綻した安愚楽牧場の旧経営陣3人の逮捕を報じた。
全国7万人超から出資を募り、総額約4300億円の負債を抱えて倒産した和牛商法の同社の旧経営陣は、虚偽の説明で顧客を勧誘したとして特定商品預託法違反(不実の告知)の疑いで逮捕されたのである。
元金保証・高配当をうたい文句に出資を募り、繁殖牛を識別する耳番号の水増し偽装(契約頭数では9~10万頭だが実際は6万頭前後)を行って出資者を騙した罪は大きい。

 

上場会社の粉飾決算(最近ではオリンパスなど)やこういった不正行為がつきないのはなぜか。不正発生のメカニズムとして、業績悪化等による「不正動機」、個人の権限集中等による「機会」、さらに倫理観の欠如等による「正当化」の3つの要因(「不正のトライアングル」と呼ばれている)が専門的に考えられている。
いずれにせよ、これらは皆欲に絡んで「会社を良く見せたい、大きくみせたい」といった邪心からくるもので、道理に反する行為は必ず破綻するものである。

古く老子は、『(つまだ) つ者は立たず、(また) ぐ者は行かず。自ら見る者は明かならず、自ら是とする者は(あら) われず。自ら(ほこ) る者は功無く、自ら(ほこ) つ者は立たず、る者は(ひさ) しからず。』といった。

 

これは「つま先で立つ者はずっと立っていられず、大股で歩くものは遠くまでは行けない。自ら見識あるとする者は是非があきらかにできない。自ら功を誇る者は功がなくなり、自ら才知を誇る者は長続しない」(蜂屋邦夫訳)という意味だ。「つま先立ち」や「大股で歩く」ということは実体より大きく見せることであって、決して長続きできるものではない。

 

自己の身の丈や実力をわきまえ、(おご) ることなく謙虚かつ堅実、正直に経営をしていくことが信用を得て、事業を長続きするコツと言えよう。

以上
創新事業承継プロジェクトチーム 代表 公認会計士・税理士 高良 明

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