承継いろは vol.33

「山本五十六の言葉から〜後継者・人材の育成~」

 

事業承継、つまり、経営者の高齢化による交代の場面では、自社株の集中的な承継やこれに対する相続税などが課題であることは確かですが、まず何よりも重要なのは、次の経営者である後継者のことでしょう。最近では、身内であろうがなかろうが、現経営者の身近に後継者(経営者)になりたがる人がいない、という「後継者難」の状況にあるようです。また、仮に、後継者になってもいい、という人がいたとしても、そのままで次の経営者になれるということはほとんどありません。つまり、現経営者としては、後継者候補を選ぶだけでなく、経営をバトンタッチするまでに何とか経営者としてやっていけるよう、育成しなければならず、これは、現経営者の重要な使命、と言えるでしょう。  後継者を含めた人材の育成、というときに、よく引き合いに出されるのが、山本五十六の言葉です。  

 

ご存じのとおり、山本五十六は、太平洋戦争開戦時の日本海軍の連合艦隊司令長官で、ハワイの真珠湾攻撃を指揮しましたが、昭和18年4月に飛行機で前線視察中、ブーゲンビル島上空でアメリカ軍の飛行機に待ち伏せ襲撃され、撃墜されて戦死しました。 この山本五十六、海軍大佐時代に、駐在武官として米国に2度駐在したことがあり、この間にその強大な国力を痛感したと言われています。そして、帰国後、霞ヶ浦海軍航空隊等で海軍航空隊の育成に力を注いだのですが、その際、よく用いたと言われているのが、次の言葉です。

 

「話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。」

 

これは、一般的に、「任務を行う上では部下とよく話し合ってその意義を理解させ、部下の意見も聞いてこれを採用し、権限を与えてやらなければ、人材の育成はできない。」、ということになるでしょうか。 戦前の日本海軍の軍人の言葉としては意外かもしれませんね。しかしながら、山本五十六は、上述のとおり、早くから国際間の情報収集、外交の現場を経験するとともに、米国の国力等を現地で生で見聞し、かつ、西欧の合理主義に触れていたためか、その状況分析は非常に冷静かつ合理的で、陸軍の精神主義的な傾向とは対照的であったようです。 この言葉は、現経営者として後継者を育成するときに、心がけたいものです。 また、山本五十六は、上官としても、非常に部下の人心を掌握し、統率していたとも言われていますが、これについての言葉として、次のものがあります。

 

「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば人は動かじ。」

 

これも、上官には絶対服従、という組織であった軍隊のリーダーが用いたとは思えないですね。しかしながら、明晰な山本五十六は、組織においては、権限だけで部下を統率し、成果を上げることはできない、ということをよく理解していたのでしょう。 これは、後継者が会社という組織のリーダー(経営者)となるにあたって、身につけてもらいたいところですね。

 

そして、最後に、これらとセットで語られる山本五十六の言葉を紹介します。

 

「やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。」

 

皆様の検討をお祈りいたします。

以上
創新事業承継プロジェクトチーム 吉岡毅法律事務所 弁護士 吉岡毅

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