承継いろは vol.41

「事業承継と民事信託」

 

今回は事業承継の場面における民事信託制度の利用についてご説明いたします。 信託には民事信託と商事信託があります。 民事信託は、信託の受託者が限定された特定の者を相手として、営利を目的とせず、継続反復しないで一度だけ引き受ける信託のことを言います。 商事信託は、不特定多数の者を対象に引き受ける信託となり、信託業法で規制されています。

今回は、このうち民事信託を活用しようというお話です。

そもそも、信託とは、特定の者(受託者)が財産を持っている者から移転された財産(信託財産)につき、信託契約により(信託行為)、一定の目的(信託目的)に従い、財産の管理または処分及びその他の当該目的の達成のために必要な行為をすることです。

つまり、財産を持っている委託者より受託者に財産を移転し、受託者に管理・運用・処分をしてもらうという制度です。受託者は自由に管理等ができるわけではなく、委託者と受託者との間で締結する信託契約に拘束されることになります。

 

また、信託には倒産隔離機能があり、委託者の倒産による影響を受けず、またさらには受託者の債権者は信託財産に強制執行等が禁止されているため、受託者における経済状況の影響を受けないというメリットがあります。

 

後継者が未熟ですぐに事業を継がせることができないという場合に、後継者の準備が整うまで、適切な者(受託者)に事業を任せ、後継者の準備が整ったときに確実に後継者に事業を継がせるということが、上記の信託という制度を利用することによって行えます。 ここでの「適切な者」には社内での人材または取引先等が考えられます。 受託者は業務を行ったことによる報酬を受領し、残余の財産は指定した受益者のものとなります。

 

また、受託者は限定責任信託とすることにより、責任を限定することも可能です。 ただし、事業に含まれる財産及び債務の額等の内容次第では事業の信託を行うための手続き的な負担が大きくなるかもしれませんので注意が必要です。 どちらにしましても、綿密なスキームを立てる必要がありますので、専門家と相談の上、進めていくことをおすすめいたします。

以上

創新事業承継プロジェクトチーム 司法書士 山中 康継

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