承継いろは vol.43

「生命保険金は特別受益にあたるのか」

 

「特別受益」とは遺産の前渡し分のことですが、相続人が遺贈を受けた財産や、被相続人の生前のうちに贈与された財産などを指します。こうした「特別受益」は相続発生時には、遺産の額に相続時点での時価により、持ち戻されて遺産分割の対象となり、「特別受益」を受けた相続人の財産は、遺産分割額から「特別受益」を差し引いた残りとなります。
それでは、生命保険金は「特別受益」にあたるのでしょうか。以下の最高裁判例を見てみましょう。


最高裁判判例(事件番号:平成16(許)11/事件名:遺産分割及び寄与分を定める処分審判に対する抗告審の変更決定に対する許可抗告事件) (前略) 養老保険契約に基づき保険金受取人とされた相続人が取得する死亡保険金請求権又はこれを取得した死亡保険金は、①民法903条1項に規定する遺贈又は贈与に係る財産には当たらないと解するのが相当である。  もっとも、上記死亡保険金請求権の取得のための費用である保険料は、被相続人が生前保険者に支払ったものであり、保険契約者である被相続人の死亡により保険金受取人である相続人に死亡保険金請求権が発生することなどにかんがみると、②保険金受取人である相続人とその他の共同相続人との間に生ずる不公平が民法903条の趣旨に照らし到底是認することができないほどに著しいものであると評価すべき特段の事情が存する場合には、同条の類雑適用により、当該死亡保険金請求権は特別受益に準じて持ち戻しの対象となると解するのが相当である。  上記特段の事情の有無については、③保険金の額、この額の遺産の総額に対する比率のほか、同居の有無、被相続人の介護等に対する貢献の度合いなどの保険金受取人である相続人及び他の共同相続人と被相続人との関係、各相続人の生活実態等の諸般の事情を総合考慮して判断すべきである。

この最高裁判例では、①の通りに「生命保険金は特別受益にならない」と判決されています。しかしその後、他裁判により②「保険金受取人である相続人とその他の共同相続人との間に生ずる不公平が民法903条の趣旨に照らし到底是認することができないほどに著しいものである評価すべき特段の事情が存する場合」があるとして、生命保険金が特別受益になると判決されています。このように生命保険金が特別受益になるかどうかの判断は③から考えると、「保険金の金額(高額かどうか)」、「相続財産に占める割合」、「被相続人と保険金受取人・その他相続人の関係、同居の有無」、「保険料と保険金との実質的な等価性があるかどうか」などから考えられます。つまり、あまりにも高額な保険金、相続財産のほとんどを占める保険金、被相続人の面倒を見ていない相続人が受取人になっている契約、高額な一時払いの生命保険、などは生命保険金が相続財産として持ち戻しの対象となる可能性が考えられますので、慎重に検討していきましょう。

以上

創新事業承継プロジェクトチーム ライフプランナー 山崎 亮

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