承継いろは vol.47

「監査役」

 

監査役の職務は取締役の職務執行を監査すること、ということはなんとなくのイメージとしてお持ちかもしれません。
では、具体的にどのような職務が監査役にはあるのでしょうか?
監査役の職務としての監督の範囲は会計監査と業務監査の二つに分類できます。
ただ、業務監査と言っても、その権限は業務が適法にされているかどうかの監査にとどまり、業務執行が妥当だったかどうかは監査の対象外と考えられています。それは業務の妥当性の判断は取締役の経営判断として裁量の範囲内のこととされているからです。

 

実際は、中小企業の監査役の権限は会計監査のみに限られていることが多く、業務監査権限を持っていないことが多いのです。
それは平成18年に会社法が施行される前は、小会社(資本の額が1億円以下の株式会社で負債が200億円未満である会社)に該当する会社は会計に関する監査権限のみに限られていたためです。また、当該会社は会社法施行後も定款に監査の範囲を会計に限定する旨の定めがあるものとみなされています。

 

ただし、会社法施行後はこのような小会社かどうかで決まるという一律の基準はなくなり、大会社以外の株式の譲渡制限規定のある会社であれば監査役の権限を会計監査に限定することができるようになりましたので、監査役を設置される場合で権限を会計監査に限定にする場合はその旨を定款に記載する必要がありますのでご注意ください。


また、平成27年5月1日に施行となる会社法の改正により監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の記載は登記事項となり登記する必要があります。ただし、経過措置として改正会社法施行後最初に就任・退任する際に変更の登記を行えば良いということになっています。


では、監査役の権限は常に会計に限定したほうがいいのでしょうか?会計に限定した場合、取締役への監督機能が働かないということを考慮して、株主に取締役を監督するための権限が与えられることになります。たとえば、一定の要件のもと株主は著しい損害が生じる恐れがある場合は、取締役に対してその行為をやめることを請求することができ、また、取締役会設置会社である場合、一定の要件のもと株主は取締役会の招集を請求できます。

 

さらに、監査役の権限も会計に限定するかどうかで以下のように異なってきます。原則として監査役は取締役会への出席義務がありますが、会計限定監査役設置会社としておけば取締役会へ出席する義務がありません。また、取締役会議事録の閲覧または謄写の請求は裁判所の許可が必要ですが、会計限定の監査役の場合、裁判所の許可を得ることなく営業時間内であればいつでも請求ができてしまいます。
監査役の権限や株主の権限がどう変わるのかを考慮して監査役の権限を会計に限定するかどうかを決定していただく必要があります。

以上

創新事業承継プロジェクトチーム 司法書士 山中 康継

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